芝地の雑草の見分け方と防除 (1)

−コニシキソウの仲間−

<はじめに>

 単一植生による人為的な芝地には光が充分に当たり、雑草の発生は容易である。今までにはなかった雑草の侵入も懸念され、従来どおりの除草剤散布から外れる雑草の増殖もありえよう。それを防いでいくためにも、まず雑草を知る必要がある。同じように見えていても実は違う雑草、それを見分けることから始める。それから、できればその発生生態の違いまでも明らかにしていければと考える。1年生なのか多年生なのか。発生時期がいつごろか、開花結実がいつなのか、繁殖はどのようにしていくのか。それにはじっくり、調査観察を続ける必要がある。今回はトウダイグサ科のコニシキソウの仲間についてみて見る。

<共通点>

いずれも1年生で、葉は対生。茎や葉を切ると白い汁がでる。夏から秋に開花結実する。杯状花序は目立たず、そこから三角状の果実が伸び出す。茎は基部でよく分岐する。

<見分け方>

 それぞれの雑草の特徴は写真下に記載した。

コニシキソウ

茎は基部でよく分岐し地表を這い、暗紅色を帯び、全面にねた白毛が多い

種子には不明のしわがある。

葉の中央に暗紫色の斑点があり、長楕円形(5〜8mm×2〜3mm)。葉腋に暗紅色のつぼ形の花を多数つける。果実は不明の3稜があり、上から見ると角の円い三角形。表面全体に白いねた毛がはえる。




オオニシキソウ

茎は直立または斜めに立ち、枝はジグザグ状にまがり、紅色を帯びる。

葉は長楕円形(15〜35mm×6〜12mm)。葉が一番大きい。斑紋のあるものとないものがある。

果実は横から見ると三角状卵形、上から見ると正三角形、無毛

種子にはかすかな横しわがある。




ハイニシキソウ

茎は基部でよく分岐し地表を這い縮れた白毛が多い。

果実は横から見ると三角状扁卵形、上から見ると正三角形、稜にそった部分に立った長い毛が生える。

葉は歪んだ倒卵形から長円形(4〜8mm×2.5〜5.5mm)。斑点はない

種子には深いしわがある。

左:コニシキソウ

中央:ハイニシキソウ

右:オオニシキソウ

左:コニシキソウ、中:ハイニシキソウ、右:オオニシキソウ

  は見分け方の重要点を示す。その見分け方をまとめると下の表になる。

コニシキソウ

Euphorbia supina Rafin.

オオニシキソウ

Euphorbia maculataL.

ハイニシキソウ

Euphorbia chamaesyceL.

地面を這う。

直立又は斜上する

地面を這う。

中央に暗紫色の斑点ある。

長楕円形

斑点のあるものとないものがある。長楕円形で最も大きい

斑点はない

歪んだ倒卵形から長円形

果実

表面全体に白いねた毛が生える。

無毛

稜にそった部分に立った長い毛が合える。

種子

不明のしわがある。

かすかな横しわがある。

深いしわがある。

その他

北アメリカ原産

北アメリカ原産

熱帯アメリカ原産


<その他の類似雑草>

ニシキソウEuphorbia pseudochamaesyceFisch.Mey .et Lallem:茎は基部でよく分岐し地面を這うか、少し斜めに立ち上がる。赤く、いくぶん毛がある。葉は長楕円形。斑点がない。花は葉腋に赤紫色の小さな花序がつく。果実は扁卵形で無毛。種子はしわがなく平滑である。在来種。

アレチニシキソウEuphorbia massiliensisThell.:葉は楕円形。コニシキソウに似る。果実はハイニシキソウと同じで稜にそった部分に立った長い毛が生える。ハイニシキソウの亜種として扱われる場合が多い。

イリオモテニシキソウEuphorbia thymifoliaL.:茎は紫紅色で短い伏毛をもち、基部でよく分岐し地表を這い先端で斜上する。葉は歪んだ長卵形。斑点はない。花は杯状花序が葉腋に集合して形成され、白色の花弁状の目立つ付属体を有する。果実は稜上に白毛。熱帯アメリカ原産。


<発生生態と防除法>

コニシキソウは好光性の植物なので、ターフの芽数の少ない所、裸地部に発生しやすい。発生時期は5月から8月で、発生の多い場所では高密度ターフの維持が大切で、一時的でも乾燥害や病虫害による裸地部を出さないように努める。

除草剤による防除は、基本的に土壌処理剤で発生させないようにするのがよいが、ただ発芽が一斉ではなく、一度枯らしてもまた発生してくるので、生育初期に茎葉兼土壌処理剤のSU剤(エトキシスルフロン、ハロスルフロンメチル、フラザスルフロン)を処理する。地面をはうコニシキソウやハイニシキソウはモアにかからず、刈り飛ばすことができないが、オオニシキソウは斜上するのでモアで種子をつける前に刈り飛ばす。生育期になってしまったものは、ホルモン剤などの茎葉処理剤 (トリクロピル、MCPP)に展着剤を加えたものを使用して防除しておかないと、9月から10月に結実し、種子が飛び散り、翌年また多発する。

 当研究所では、コニシキソウとオオニシキソウの発生が従来から見られたが、ここ2、3年ハイニシキソウの発生がみられ、一旦入るとどんどん増えている。また、他の2種に比べ開花結実が早いので、早めの防除が必要である。